涙・KyuHae

意地悪で小悪魔のような末っ子だとは言われるけれども、好きな人を泣かせる程底意地が悪い訳ではない。だって、好きな人は大切にしたいし、何よりもドンへは笑顔が可愛いから、常に俺の前では笑っていて欲しい訳で。
「うう、キュヒョンごめんね」
「別に気にしてませんから、そんな顔をしないで下さい」
待ち合わせの時間に三十分も遅れたドンへは、何時もの笑顔なんて何処かに消え失せていて今にも泣き出しそうだった。彼の笑顔が曇って涙を見せるくらいだったら、俺が折れて早く笑顔を取り戻してあげたい。
それに三十分程度待つことなんて、この仕事をしていれば慣れたもんだし、ちょっとした暇つぶしでスマートフォンを弄っていればあっという間だ。
「別に俺は怒ってないですから、早く笑顔に戻ってください」
「・・・ほんとに?」
まるで子どものように、不安そうな表情を浮かべて俺の顔色を窺っているドンへが可愛くて、思わず吹き出しそうになるのを必死で我慢しながら、キュヒョンが無言でうなずくと、ドンへが良かった。と、言いながらようやく何時もの笑顔を見せてくれた。

ニッコリと笑うドンへを見て、キュヒョンもニッコリと笑顔を見せた。

「・・・っ、はあっ」
「ドンへ・・・可愛い、もっと感じている顔を見せて」
せっかく二人揃ってオフになったのだから、良い大人のカップルが単にお茶だけを飲んで解散なんてぬるいことをする訳が無い。ホテルに着いたキュヒョンは、まるで野生動物のように勢いよくドンへを求めるもんだから、そのあまりの強引さに、ドンへが少し躊躇っているような態度を見せた。
「や、キュヒョン・・・俺、汗かいてるから、先にシャワー浴びたいよおっ・・・ひゃああっ」
「・・・別に、シャワーなんて浴びなくても構いませんよ」
ドンへのシャツをまくって、ピンク色に染まってぷっくりと膨れ上がった乳首を弄りながらキスをすると、びくりと跳ねながら甘い声を漏らす。
そのまま唇を優しく離して、ニオイを気にしているドンへに対して、ワザと首筋やワキのニオイを嗅ぐと、ドンへの顔が真っ赤になった。適度に強弱をつけて、敏感になっている乳首の突起部分をグリグリと刺激を与えると、我慢できなくなったドンへが蕩けた声でやめてと懇願する。
「や、やら・・・そんな風に弄っちゃダメ・・・っ」
「そんな顔でダメとか言われても、全然説得力無いですよ?ほら、こっちなんてガチガチに硬くなって、先っぽからエッチな汁が溢れてるじゃないですか」
「ひ・・・んっ・・」
「そうだ、このまま乳首だけでイッて下さい」
「ふああ・・・や、ぁ・・・」
ベッドに押し倒して、早く弄ってと言わんばかりに反り立っているドンへの下半身を無視して、執拗に乳首だけを弄り続けると、次第に彼も余裕が無くなってきたのか、甘ったるかった可愛らしい声が次第に大きくなり、喘ぐ声に変わっていく。
「あ、あんっ・・・はあっ、も、やら、それ以上は本当に・・・っ」
「それ以上は?どうなっちゃうんですか?」
「・・・っ、イクっ、イッちゃう、出ちゃうよおっ・・・!」
キュヒョンがギュウ、と乳首を思い切り抓んだ瞬間、刺激に耐えられなくなったドンへが身体を震わせながら本当にイッてしまった。ハァハァと息を切らしながら、ポロポロと涙を零しているドンへを見て、キュヒョンは思わずニッコリと笑顔を見せる。

ドンへの涙は見たくない。でも、セックスの時だけは別だ。思い切り彼を泣かせて、俺のことしか考えられなくなるくらい感じて欲しい。

「下着・・・脱いで無かったのにぃ・・・キュヒョンのバカ、イジワル!」
「大丈夫ですよ。ズボンは汚れて無いですし、帰りは下着を着けなければ良いだけです」
「・・・バカっ」

溢れた涙を指で拭いながら、早くどうにかしようと必死になってズボンを脱ぐドンへを見ながら、さて、今度はどうやってドンへを泣かせてあげようかとキュヒョンは考える。

何?やっぱりキュヒョンは「意地悪で小悪魔のような末っ子」だって?ドンへの前でだけですよ。

 

END