シウォン×キュヒョン

 

不意に小さな物音が聞こえてきて、キュヒョンはゆっくりと夢の世界から、現実の世界へと引き戻されていく。手探りで携帯電話を探して、電源を入れると、まだ明け方だ。いや、もう明け方だと言ったほうが良いのだろうか。だって、俺はまたシウォンとセックスをした後、そのまま眠ってしまったのだから。
シウォンに触れられると、それだけで身体中が熱くなってしまうのは何故だろう。そして、そんなに回数を熟しているわけでは無いのに、毎回終わると同時に、気を失ってしまうというか、あまりの気持ち良さで、そのまま眠ってしまうんだ。何となく申し訳なくて、毎回起きるたびにシウォンには謝るのだけれど。

キュヒョンの寝顔は可愛い、だから、見ているだけで癒されるから、気にしなくて良い。

なんて、そんな事を言われてしまったら、これ以上は何も言えなくなってしまうのが歯がゆい。キュヒョンはそんな事を考えていたら、まだ明け方だというのにも関わらず、昨夜のシウォンとのセックスを思い出してしまった。シウォンに触れられた個所やキスを思い出すだけで、下半身が疼いてしまうなんて、本当に俺って、馬鹿だ・・・・・・!!

「キュヒョナ・・・・・・すまない、起こしてしまったか」

「ひぁ!!だ、大丈夫です・・・・・・!!」

狙っていたかのようなタイミングで、シウォンがキュヒョンに話しかけてくるもんだから、驚いてしまったキュヒョンは、思わず変な声を出してしまった。同時に、顔が真っ赤になってしまうと、シウォンが心配そうな表情を見せながら、キュヒョンの傍へとやってくる。

「熱でもあるのか?顔が真っ赤じゃないか」

「ん・・・・・・っ」

そして突然、予告も無しにおでこをあてて、熱を測る仕草なんてしてくれるもんだから、キュヒョンは余計顔を真っ赤にしてしまった。これ以上されたら、頭から湯気が出てしまう、なんて事を考えていると、不意にシウォンと目が合ったキュヒョンは、そのまま彼の瞳に吸い込まれてしまい、気が付くと唇を重ねていく。何度も何度も唇を重ねると、静かな部屋にリップ音が鳴り響く。その音がとてもいやらしくて、これ以上されたら、頭がおかしくなってしまうって思った瞬間、シウォンにそのまま押し倒されてしまったキュヒョンは、まるで誘っているかのような熱っぽい吐息で、彼の名前を呼ぶ。

「・・・・・・シウォ、ン・・・・」

「キュヒョナ・・・・・・」

お互いに真っ直ぐ瞳を合わせて、もう一度キスをする。すると、シウォンの手が探るようにキュヒョンの腰に触れてくる。そのまま下半身を触れられたら、既に大きくなっているという事に気付かれてしまう。そう思ったキュヒョンは、思わず反射的に、ちょっと大きな声を出して、シウォンの事を拒んでしまった。

「やっ、あの・・・・・・その」

「・・・・・・そうだな、こんな明け方に、すまない」

違う。悪いのは俺なのに、誘うようにシウォンの名前を呼んだのは、俺じゃないか!!

キュヒョンは、思わず拒んでしまった事に対して、後悔をした。せめて俺と一緒に居る時は、シウォンに切ない表情なんてさせたくないのに。そう思うと、キュヒョンの心は苦しくなる。でも、シウォンは直ぐに笑顔をキュヒョンに見せると、まだこんな時間だから、もう一度寝たほうが良いと言うと、優しく布団をかけて、おでこに軽くキスをしてくれる。おやすみ。と一言だけ囁いて、シウォンが部屋から出て行った後、キュヒョンはそっと、目を閉じながら熱くなってしまった下半身に触れる。

「・・・・・・っ、ふ・・・・」

シウォンに気付かれないように、声を殺しながら、本当は触れて欲しかったという思いを打ち消すように、キュヒョンは自分で大きくなった下半身の処理をする。シウォンの事を考えれば、直ぐにイク事が出来るなんて、我ながらどれだけ俺は、シウォンに溺れているのだろうか。

これで目を覚ましたら、シウォンはもう居ない。

身体を重ねている時は、どれだけ俺の事を「愛している」って囁いたって、シウォンが本当に愛しているのは、俺じゃない。解っていて、シウォンの事を受け入れた筈なのに、どうしてこうも毎回心が苦しくなるのだろうか。俺の心が壊れる前に、シウォンとはもう会わないって、何度言おうと思ったか。でも、ちょっと切ない表情で、また連絡するからって言われると、どうしても拒む事が出来なくなってしまうんだ。

「ずっと、俺の傍にいてよ・・・・・・」

シウォンに言いたくて言いたくて、仕方ない言葉を布団の中で呟くと、同時に涙が溢れてきた。キスもセックスも、何も要らない、俺はただ、シウォンに傍に居て欲しいだけなんだ。でもそんな事を言ってしまったら、シウォンはもう、俺の前に二度と現れなくなってしまうだろうって考えると、絶対に言えない。

夢の中に居る筈なのに、何故か美味しそうなご飯の香りがするのは、一体何故だろう。キュヒョンがゆっくりと目を覚ますと、まるで金縛りにあってしまっているかのような身体の重さを感じる。明け方に、自分で処理をしてから寝てしまったもんだから、身体が疲れているのかな、なんて思っていると、キュヒョンの耳元で、微かに寝息が掛かって、思わず顔を真っ赤にしてしまった。

「シウォン・・・・・・帰ったんじゃ、なかったの」

「ん・・・・・・」

キュヒョンが少し戸惑いながらも、思っている事を素直に吐き出すと、その言葉に反応して、シウォンもゆっくりと目を覚ます。すると、優しい笑顔で、キュヒョンを起こそうと思ったら、一緒に寝てしまったようだって言うんだ。

嘘だ、起こそうと思って、起きなかったら、何時もそのままにして、置いていく癖に・・・・・・

キュヒョンは真っ先にそう言ってやりたいのを、ぐっと堪えながら、シウォンの腕の中で、シウォンのぬくもりを確かめる。シウォンのプライベートには、何があろうとも一切聞かないし、口出さない。これは、俺が勝手に決めた、シウォンと付き合う際のルールだ。だって、変に勘ぐって、嫌われるのも嫌だし、何よりもシウォンの口から、恋人の話なんて聞きたくもないから。何時だって、傷付くのが怖いから、現実を見ないふりをして、シウォンの前で笑顔を作っているんだ。

「キュヒョン・・・・・・触れても良いか」

「触れ・・・・・・っ、ん!!」

「キュヒョンの可愛い寝顔を見ていたら、我慢できなくなった・・・・・・ダメか?」

そう言って、俺にいつも選択権を与えるけれど、本当はそんなの、無いに等しい。だって俺は、何時だってシウォンの傍に居たいし、キスもしたいし、セックスもしたくてたまらないんだもの。明け方に全て、吐きだした筈なのに、シウォンに優しく触れられるだけで、直ぐにでも反応をしてしまうなんて、俺はどれだけ飢えているのだろうか。そして何時まで、こうした関係を続けていくのだろう。

何処まで傷付けば、所詮不倫なんて、そんな程度なんだって事に気付くのかな。

最後に傷付くのは俺だとしても、今はこの甘い水槽の中で、死ぬまで溺れていたいと思う。友達にバカだって言われても、この瞬間の心地よさがたまらなくて、抜け出す事なんて出来ないんだ。存分に身体を重ねて、お互いの愛を確かめたら、シウォンが作ってくれたご飯を一緒に食べよう。今日は、そんな恋人らしいことが出来るだけで、俺の心は十分に満たされるから、それで満足なんだ。

 

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※ちょっと大人の恋愛を書いてみたくなった。個人的には続きを書きたいと思ってます。