大きなミス。

仕事で大きなミスを犯してしまった。社内だけだったら何とか許してくれるけれど、今回ばかりは、クライアント先に大きな迷惑を掛けてしまったからそうもいかない。周りは大丈夫だよ、誠意をもって謝ればちゃんと許してくれるよって言ってくれたけれど、ドンへはもう会社を辞めるつもりだった。
いつもうっかりミスが多いドンヘ。よく俺のことを雇ってくれたよなって心底思う。これでもう、部署のみんなに迷惑を掛ける事も無いし、きっと俺が辞めるって聞いて、周りも内心せいせいしている事だろう。ドンへが複雑な想いを抱えながらデスクに着くと、珍しく同期のヒョクが俺よりも早く会社に来ていた。目が合うとおはよう。よりも先に右手でちょいちょいと手招きされる。

「ん、何?ヒョク、おはよ‥‥‥って、わあっ!!」

「辞‥‥‥何、コレ?」

素直にドンへがヒョクのデスクに行くと、サッとカバンを奪われてチャックを豪快に開けられる。すると、昨日書いた「辞表」が見つかってしまい、ドンへは思い切り気まずくなってしまった。ヒョクの目を直視する事が出来なくて、何となく目をそらしていると、

「‥‥‥いてっ!!」

「バカ、逃げるなよ」

おでこに遠慮なくデコピンをされて、我慢していた涙がポロポロと零れる。別に逃げるつもりはない。ちゃんと責任をもって、クライアント先に謝りに行ってから辞めるつもりだもん。って小さい声で反論をすると、そういう意味じゃない、本当に解ってないなって益々怒られてしまった。結局その日は一日中ヒョクに口を聞いてもらえなかった。

 

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