愛人。なんて契約をしていなかったら、一生訪れる機会なんてないであろう豪華なホテルの一室。部屋の内装も家具も、アメニティも何もかもが豪華でいつも目がクラクラしてしまう。
シウォンさんとのセックスは丁寧で優しくて、こんな人が彼氏だったら最高なんだろうなっていつも幸せな気分にさせてくれる。だからこそ、独りになると申し訳ない気持ちが押し寄せてきて、ひどく悲しい気持ちになる。
「ごめん、待たせたね」
「いえ、あの…。やっぱり今日はお金大丈夫ですよ」
「急な仕事で遅くなったのは俺のせいだ。だから、いつもの金額を振込しておくから気にしないでくれ。…ああ、そうだな、待たせた分の上乗せをしておくよ」
「そんな……っ」
毎週木曜日の夜9時から12時までの3時間は、シウォンさんとの時間。でも今日は仕事の調整がどうしてもつかなくて、やっと会えたのは日付をまたぐ寸前だった。
どれだけ仕事が忙しくても、木曜日はきっちりと仕事を調整してドンヘとの時間を楽しみたいんだって前に笑顔で言ってくれていたのを思い出す。
キャンセルをしてくれてもよいのに、ドンヘが良ければ部屋で待っていてくれないかなんて言われたら、断ることなんてできるわけがない。
「あの…じゃあ、俺を待たせたってことで、1つワガママを言ってもいいですか?」
「もちろんだよ!何でも言ってくれ」
「じゃあ……」
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