リーダーは何でも知っている。

「何だ、未だ付き合ってなかったの?」
まぁ、当然と言われれば当然のリアクションかもしれない。だって、それだけ俺たちは日頃から、目に見える程に仲が良いんだから。あの後、何だか興奮しちゃって、寝付けなかった俺は、見事に寝不足状態でテレビ局に入った。そして、取りあえずリーダーにだけは、きちんと俺たちの事を報告しておこうって思ったんだけれど、返ってきた答えは、思っていた以上に、あっさりとしていた。
「俺はそれよりもさ、その頬のほうが気になるけどな」
「う・・・」
「本当だよ。ギリギリまで冷やしてもらうなり、メイクで隠せないかしてもらったら?」
ニヤニヤと半笑いを浮かべながら、ヒチョルがからかう様にヒョクの髪型を崩すから、思わず苛立ってしまうヒョクを見て、すかさずイトゥクがフォローに入る。俺たちの付き合う報告よりも、昨日元カノに殴られた傷のほうが、彼らにしてみると大事のようだ。まぁ、あまり食いつかれても、対応に困るから、それくらいで良いんだけれど。
「まぁ、でもさ、これでお前がもう、危なっかしいことをしなくなるなら、お兄ちゃんは一安心だよ」
「危なっかしい?」
「ドンへの事を意識しないために、わざと好きでもない女の子と付き合ってきてたんでしょ?」
何もかも、お兄ちゃんには見透かされていた。何だか恥ずかしくて、顔が真っ赤になる。こんな姿、絶対にドンへには見せられない。ヒチョルが続けて、じゃあお前のその頬の傷は、今までのツケってヤツだな。と、言われて、何も言い返すことが出来なかった。

 

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