車でお迎え。

「・・・待った?」
「ううん、待ってないよ」
ドンへと待ち合わせて、一緒に何処かに行くなんて行為は、前からやっている事の筈なのに、恋人同士になるだけで、こんなにも緊張するものなのだろうか。今日は俺のほうが早く仕事が終わったから、車でドンへを迎えに行ったんだけれど、途中で数回事故に遭うんじゃないかってくらい、初心者のような運転をしてしまった。
「ヒョクも仕事で忙しかったのに、なんかゴメンね」
「何だよ、そこは素直に甘えるところだろ・・・それに、早くドンへに会いたかったから良いんだよ」
「・・・っ」
昼間、あれだけお兄ちゃんたちに虐められたら、ドンへに早く会いたくなるのは当然のことだ。それに、なんだコイツは、俺の発言に対して、ものすごく顔を真っ赤にしているもんだから、俺も恥ずかしくなってくる。ヒョクは何時もの口調で、早く乗れってってドンへを助手席に促すと、ドンへは慌てて車に乗り込んだ。
「・・・緊張してる?」
「う・・・ん・・」
車を走らせて数分、でも、ドンへの姿勢は崩れることなく、ピンと背筋を伸ばしたまま、両手を膝の上になんて置いている。緊張しているのが明らかに伝わってきて、ヒョクは思わず変なことを聞いてしまった。でも、クスクスと笑いながら、俺も。って返すと、ちょっとドンへの緊張もほぐれたみたいで、ニッコリと笑顔を見せてくれる。ヒョクは素直に、ドンへって可愛いなって思った。

 

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