幸せオーラが溢れている。

イ・ドンヘという男は、悲しい事や辛い事を隠すのは得意なくせに、嬉しい事を隠すのは苦手だ。だから、何か良い事があると、直ぐに周りに感付かれてしまう。でも、にっこりと笑顔で、ふわふわとしていて、何時も以上に注意力散漫になるから、周りの人間は「何に」浮かれているのかを聞く余裕が無い。
素敵なホテルで、何時も以上に満たされたセックスをして、一緒に過ごして、俺は何て幸せ者なのだろう。今日は1日中、残念ながらその事しか考えていないドンへは、今日何度目かの、機材のコードを引っ張って、転びそうになってしまった。
「わっ・・・!!」
「ドンへ、大丈夫か?」
「っ、大丈夫・・・です」
同じドラマで共演をしているチェ・ジニョクが、よろけたドンへの肩を優しく支えて、転ぶのを引き止めてくれた。でも、ちょっと体勢を崩してしまって、まるでジニョクの胸に飛び込んでしまったかのように見えてしまう。当然周りからは、何だか恋人同士みたいだね!ってからかわれてしまって、ドンへは気まずくなった。
「ジニョクさん・・・ゴメンなさい」
「・・・ちょっと、来て」
ドンへの腕を強引に掴んで、無理やり控え室に連れて行かれたドンへは、絶対に怒られる!と、思った。皆が一生懸命撮影を頑張っているのに、俺は浮かれて何をやっているんだろう。
「・・・あの、俺・・・っ?」
ちゃんと謝ろうと思って、お互いに目が合った瞬間、ジニョクさんがドンへに近付いてきた。

 

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