一方、ヒョクは。

「本当、お前って・・・はぁ、此処から動くなよ!」
「・・・はい」
ため息をつきながらも、ヒチョルは手早くヒョクを椅子に座らせる。そして、周囲を見渡して、怪我の治療が出来そうな人を探しに行った。昨日のドンへとの時間がものすごく幸せ過ぎて、周りを見る余裕が無く、思い切り機材にぶつかり、体勢を崩して転んでしまった。しかもついていない事に、俺が転んだ先に、道具箱があったもので、丁度角の部分が左腕をえぐってしまい、酷い血だらけになってしまったんだ。
まぁ、見た目ほど酷い傷では無いんだけれども、血が吹き出てしまったことで、一瞬周囲がざわめいてしまう。そんな状態をまとめてくれたのがヒチョルだという訳だ。
「大丈夫?!ほら、早く見せて」
救急セットを持って、ヒチョルが女性と一緒に戻ってくる。そして、手早くヒョクの腕についた血を洗い流し、消毒をして治療をしてくれた。こんな姿、情けなさ過ぎてドンへには絶対に言えないよな、とか思っていると、ドンへからメールが入ってきた。
「ドンへ・・・足をくじいたって」
「お前と一緒で、浮かれてたんじゃねーの?」
「・・・っ、撮影中のトラブルだって書いてあるよ」
「ふーん。俺も腕を怪我したから、一緒に病院行こうって返しておけば?」
「無理!絶対・・・無理!!」
本当は一緒に付き添ってあげたかったけれど、自分も仕事が終わったら腕を診てもらわないといけないから、今日は俺も遅くなる。とだけ入れて、ドンへに返信をした。

 

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