偶然。

病院に着いて、先生に応急処置をしてもらった左腕を見せる。でも、別に骨に影響がある訳でも無いし、腕が上がらない訳でもないから、簡単な処置で終わってしまった。まぁ、酷い事になっていたら、それはそれで大問題だけれど。
さて、問題はこの大げさに巻かれてしまった包帯の説明を、どうやってドンへにするかだよな。今日は会えないってドンへに送るべきか?それとも・・・。
「・・・ヒョク?」
「っ・・・あ・・・」
「怪我、したの?・・・大丈夫?」
まさかこんな所で、数日前に別れた彼女と再会するなんて、嫌なタイミングだと思った。別れたその日に、ドンへに好きだって言って、次の日には付き合っているんだから、余計顔を合わせられない。でも、もしも目の前の彼女に、万が一でもやり直そうみたいな事を言われてしまったら、言葉を濁して誤魔化す事なんて絶対にしてはいけない。

俺はドンへの事を愛していて、もうドンへの心を傷付けたくないから。

彼女が俺に、どんな言葉を切り出すのか、真っ直ぐに顔を見つめていると、何でそんな風に見つめているの?改めて私の可愛さに気付いた?なんて、茶化してくる。まぁ、そんな風に、明るくてニッコリと見せる笑顔が、ちょっとドンへに似ていて好きだったんだけれど。
「そういえばさっきそこで、ドンへさんとジニョクさんを見かけたわ。仲良さそうに、診察室に向かっていったけれど」
そう言われた瞬間、頭の中が真っ白になった。

 

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