すれ違う心。

ドンヘは俺の所有物じゃない。きちんと頭では理解していたつもりでも、俺は何処か、やっぱりドンヘの事をペットとして扱っていたんだ。そんな自分が恥ずかしくて、もどかしくて居た堪れなかった。ヒョクは自分の部屋に戻ってくるまで、ドンヘとは一切口を聞かなかった。でも、手を離したらドンヘが逃げてしまうかもしれないって思うと、無意識のうちにかなり力が入っていたらしく、ふとドンヘの手を見たら、真っ赤になっていたんだ

「っ、あ‥‥‥」

「ごめ‥‥‥なさい‥‥‥ヒョク‥‥‥」

家に帰るまでの間、自分の事しか考えることが出来なかったヒョクは、ドンヘがボロボロと涙を零している事に全く気が付かなかった。まぶたが真っ赤に腫れて、まるで子どものように鼻をすすっている。ドンヘは一体いつから泣いていたんだろう

嗚呼もう、俺は、ドンヘの飼い主として、最低だ

ほんの一瞬、ヒョクは思ってはいけない事を願ってしまった。でも、直ぐに気持ちを切り替えようとしたんだけれど、悪戯な神様は全て見ていたんだ。だって、ヒョクがそう願ったのと同時に、ドンヘも同じ事を願ってしまったから

 

俺が犬になれば、ヒョクに嫌われないかな

 

ドンヘが犬になれば‥‥‥

 

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